日々数えきれないほどの広告が溢れる中で、見る人のアクションにつなげる重要な役割を担う広告コピー。
デジタル化が進み、紙からウェブへと媒体が急速に移行している今、広告コピーはどうあるべきなのでしょうか?
コピーライターとして四半世紀近く広告制作に携わってきた、弊社コピーディレクターの向野章範に聞きました。

Q. スタジオ・ユニでの制作物もWEB がメインになっていますが、
作り手としてどのような変化を感じていますか?

変化といえば「キャッチコピー」に対する意識ですね。
自分も「ん?」と思わせて、最後には「なるほど!」というポスターや新聞広告のキャッチコピーに憧れてコピーライターを目指しましたし、当時はそんなキャッチーな言葉が踊るような広告が世の中にあふれていました。
この「ん?」によって、自分が知らなかった世界に連れて行ってくれる力がキャッチコピーにあったような気がします。
それがWEBの場合は「わかりやすい見出し」をクライアントからも求められるようになったと感じます。

 

 

Q. 「キャッチコピー」から「見出し」へ、どうして変わってしまったのでしょうか。

新製品や新サービスなどを世の中に発信するのが広告媒体でしたが、いまはそれがWEBのコンテンツ記事に代わっていて、とにかく情報が増えすぎてしまったからだと思います。誰もが知りたい情報はできるだけ早く手に入れたい。だから、言葉で表現をし過ぎていたら読み手にすっ飛ばされちゃいますから(笑)。

 

 

Q. キャッチコピーと記事コンテンツの制作で仕事のスタイルは変わりましたか?

広告の場合は企画によって自分はときに女子高生になったり、小学生になったり、孫を持つおじいさんになったり、妄想も全開でした。
脳みそに汗をかきながら、おじさんでも女子の心理になりきって、キャッチコピーをひねり出していました(笑)。
だから自然と刺さる人には刺さる。

WEBのコンテンツ記事の場合はとにかく不特定多数の人が目にするので、特定の人になりきるというよりは、いちばんスタンダードな“ 普通の人” の心理を大切にしているかもしれないですね。_向野章範

 

 

Q. “普通の人” になりきるためにどうしているのですか?

「自分ゴト化」ですかね。そのコンテンツ記事に対して「自分は情報として価値を感じるか?」を優先しているかも。
自分もひとりのユーザーなので、思ってもいないことは書けないです。
これまでの経験でも思い込みで書いたコンテンツ記事よりも、なるべく多くの人の意見を聞いて、等身大の伝え方をした記事のほうがよく読まれる傾向にあります。
より多くの声を取材するとありとあらゆる意見が出て、内容としては広く浅くにはなりがちですけど、でもそれがリアルなんだと思います。

 

 

Q. 広告のコピーはこれからどうあってほしいですか?

自分が広告業界に入った時代は普通の人でも名前を聞いたことがあるようなコピーライターのスターはたくさんいました。
そんな方たちが書いた作品は、正直、今でも理解できないモノもあったりします(笑)。
でも、ずっと忘れることができない言葉ばかりです。

わかりやすく、理解しやすい「見出し」も時代のニーズのひとつでしょうけど、広告の言葉がそれだけになっていくのはちょっと寂しいような気もします。
心の琴線に触れるような、思わずポスターの前で立ち止まりたくなるようなキャッチコピーは無くなってほしくはないですね。
むしろ、そんな“夢”のあるコピーが増えれば、世の中ももっと元気になるのではないでしょうか。

 

 

【そんな向野のWORKS !】

■日本空港ビルデング株式会社 HANEDA CHOCOLATE JOURNEY

日本空港ビルデング株式会社様が初めて開催したチョコレートの祭典「HANEDA CHOCOLATE JOURNEY」の広告プロモーション。
クライアントの想いは「羽田を夢のあるイベントの聖地にしたい」でした。
結果的にコロナ禍で出店、出品はかなり減ったのですが、当初は「世界一のショコラティエたち」といっていいぐらいのブランドラインナップでした。
最初は羽田らしい「ワールドワイドなイベント規模感」をコピーにしようとも思ったのですが、「このイベントにチョコレートが大好きな普通の女の子が訪れたら、その子はどんな気持ちになるだろう」と。
きっと幸せな気持ちにあふれて、来るとき以上に満たされて電車に乗って帰るだろうと思いました。
イベントに訪れた人の心境として最も劇的な変化はなんだろうと考えて、コピーにしたのが「ショコラティエになりたい」ということです。(向野)

 

WORKS の詳細はこちら
https://www.studio-uni.com/works/haneda-chocolate-journey/